ジョンです
人の名前を間違えてはいけません。
その人にとって大切なものですからね。
私も経験があります。
昔、付き合っていた彼女に「違う女性」の名前で呼び掛けてしまいました。
きっと「大切な名前を間違えられた」からなんでしょう。
しばらく機嫌が悪かったんですよ。
え?そういうことじゃない?
というわけで、名前にまつわる雑学から3つを紹介します。
さいとうさん
知り合いに『さいとう』という名字の人はいますか?
私の周りには1人もいませんが、世間を見渡せば『さいとう』という名字をよく見かけます。
この全国にたくさんいる「さいとうさん」
数人集まると、それぞれに漢字が違っているなんてことはありませんか?
『斎藤・斉藤・齋藤・齊藤』
ざっと思いつくだけでも4種類あります。
そういえばアイドルグループの乃木坂46には、さいとうさんが3人もいます。
それぞれ漢字が違うので、初期の頃は「台本の名前が違っている」なんていう『さいとう問題』があったそうな。
それにしても、この「さいとうさん」の『さい』の字……なんでこんなに違うんですかね?
ちなみに全国の名字ランキングでは
斎藤さん 19位 およそ545,000人
斉藤さん 41位 およそ327,000人
齋藤さん 257位 およそ86,700人
齊藤さん 540位 およそ37,100人
といった結果が出ました。
難しい字の「さいとうさん」は人数が少ない気がしますが、何か関係でもあるんでしょうか?
漢字の研究をしている人によると、『さい』の字のオリジナルは『齋』だそうな。
そして、そこから『齊』の字が生まれて、『齋と齊』の2文字がしばらく使われていました。
さらに新字体が登場していくなかで『齋』から『斎』が生まれ、『齊』から『斉』が生まれたというわけです。
ちなみに、一般のパソコン等の変換で使われる文字は上記の4つだけですが、『齋』の変形や簡略といった『進化形』は他にもたくさんあるそうな。
細かい違いを含めれば、何種類あるのかもわからないほどなんだとか。
さいとうさん恐るべし……。
漢字でいえばオリジナルは「齋藤さん」でしたね。
ま、だからと言って他の「さいとうさん」がアレなわけではありませんよ。
いわゆる進化形というやつですから。
ミョウガ
「ミョウガを食べると、物忘れが激しくなる」
昔から言われていますが、もちろん科学的根拠のない話です。
私はミョウガが好きで、そうめんの薬味や酢の物にして食べますが、決して忘れん坊じゃありません。
おぼえていないのは、今までに食べたパンの数くらいです。
ミョウガはアジアが原産ですが、日本の山野に自生しているものもあります。
ただ、人間が生活していたような場所以外では見られませんし、野生種もないので、おそらく大陸から持ち込まれて栽培されてきたんでしょうね。
あれ?今回は何の雑学でしたっけ?
そうそう、『名前』にまつわる雑学でしたね。
この「ミョウガを食べると、物忘れが激しくなる」という話。
これは「お釈迦様」の弟子の一人、『周利槃特(チューダ・パンタカ)』という人のエピソードがもとになっています。
周利槃特は「お経が読めない、麦と豆の区別もつかない」というくらいに頭が悪かったそうな。
さらに自分の『名前』まで忘れてしまうので、お釈迦様が首に『名札』をかけさせました。
でも、名札をかけたことさえも忘れてしまい、とうとう死ぬまで名前を憶えることができなかったといいます。
んなあほな。
その後、死んだ周利槃特の墓に行くと、見慣れない草が生えていました。
そこで「彼は自分の名前を荷って苦労してきた」ということで、「名を荷なう」ことから、この草に『茗荷(みょうが)』と名づけたといいます。
彼の墓から生えてきたミョウガと、「物忘れ」や「頭が悪くなる」という連想で、「ミョウガを食べると、物忘れが激しくなる」と言われるようになったわけです。
パブロ・ピカソ
『寿限無、寿限無、五劫の擦り切れ、海砂利水魚の水行末、雲来末、風来末、食う寝る処に住む処、藪ら柑子の藪柑子、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助』
いきなりなんやねん。
落語の『寿限無』というお話です。
ざっくり説明すると
生まれた子どもに「おめでたい名前」を付けようとした父親が、お寺の和尚さんに相談した結果、提案された候補を全部くっつけた名前にしました。
それがあまりにも長すぎるので、名前を呼ぶときや、この子のことを人に話す際に時間が掛かり過ぎておかしなことになる。
という内容です。
なかなか面白い話ですが……呼ぶときは『じゅげむ』でよくない?
それを言っちゃあ、おしまいですね。
それにしても……実際、こんな長い名前だったら大変ですよ。
カードで会計するたびに手が疲れます。
というか、カードの裏に署名できませんけどね。
『パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ファン・ネポムセーノ・マリア・デ・ロス・レメディオス・ド・ラ・シプリアーノ・クリスピン・クリスピニアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ』
だから、いきなりなんやねん。
これは20世紀を代表する天才画家『パブロ・ピカソ』の本名です。
しかも、名前が長すぎてピカソ自身も憶えていませんでした。
あかんがな。
実はこの名前の長さには理由があって
『祖父・伯父・父・乳母』など7人分の名前を盛り込んだためなんだとか。
さらに、もともとヨーロッパには、最も神聖とされる名前を最後に持ってくるという習慣があります。
ピカソの名前の最後は『神・キリスト・精霊』の三位一体を意味する言葉。
寿限無と同じく「幸せを祈り、さまざまな願いを込められた愛情深い名前」だったわけですが、実用的じゃないから略して使っていたそうな。
だから余計に憶えられなかったんでしょうね。
きっと本人も思ったんじゃないですか?
「使うときは、ピカソでよくない?」って
周利槃特もピカソみたいに長かったら良かったのかもしれませんよ。
名札がデカくて邪魔すぎるから、少なくとも首から掛けていることは忘れなかったはずです。