ジョンです
「みなさん、これがピラミッドパワーです」
最近、このフレーズを聞かなくなりましたね。
若い人はポカーンだと思います。
昔あったんですよ『ピラミッドパワー』というやつが。
それって何やねん?
上手くは説明できません。
なんせ不思議系のお話なもんで……。
確か……ピラミッド(四角すい)の中に入れば「なんか凄いぞ!」みたいな感じです。
全然わかりませんね。
- 歳をとらない(若返る)
- 食べ物が美味しくなる
- 念力が使える
- 宙に浮く
- 潜在能力が解放される
私が見聞きした情報だけでも、これだけ多様性があるパワーなので、「なんか凄い」としか言いようがないんですよ。
ただ、ピラミッドパワーは『四角すい』を推奨している話ではありません。
エジプトのピラミッドに「神秘の力」が宿っているっぽいところからの流れで出た話です。
「王様のお墓には不思議な力がある」
↓
「きっとあの形に秘密があるに違いない」
みたいな発想だと思いますよ。
ピラミッドの常識
昔に観たテレビで
「当時の王様は、ピラミッドパワーを利用して若返ろう(甦ろう)としていた」という説が話されていました。
「不思議な力があるから、現代までピラミッドがキレイな形のまま残っている」
そんな事を言っていた人もいましたね。
え?後者は『物理学』の話じゃないですか?
「三角すいは、力の働きがウンタラカンタラ……したがって安定している」みたいな
さすがに不思議な力だけで形を維持しているなんて無理があるでしょ?
それだと「建築途中でピラミッドにもなっていない状態は、一体どうやって維持していたのか?」って話になりますから。
ま、それは置いといて……
ピラミッドといえば、古代エジプトを代表する巨大建造物です。
その正体は「王様の墓」で、多くの奴隷によって築かれたもの……という『常識』を教わりました。
ですが現在、この常識は「違う、そうじゃない」と言われています。
鈴木雅之さんですか?
「重い(石)を~、今~届けたい~♪」
やかましわ
3つの事実
イギリス人の考古学者である『クルト・メンデルスゾーン』
彼が20世紀初頭に打ち出した説は、これまでの『常識』を覆すものでした。
「ピラミッドは、ナイル川の氾濫によって田畑が冠水し、農作物ができなくなってしまった農民を救済するための公共事業だった」と考えたのです。
当然ですが、当時は誰も受け入れません。
常識が『常識』でなくなってしまうんですからね。
ですが現在では、いくつかの理由(主に3つ)から支持されています。
まず、お墓であるなら「ミイラや人骨」が発掘されて当たり前なのに、それらがまったく出てこないということ。
100基以上のピラミッドを発掘しても、一体も出てこない。
これはあまりにも不自然です。
次に、お墓であるなら「1人の王」に対して「1つのピラミッド」があれば十分だということ。
でも実際は、一人の王が複数のピラミッドを築いています。
菅原道真のように「神として祀っている」ならば、各地に築かれていてもおかしくありませんが……お墓ですからね。
最後に、ピラミッド建造にかかわったとされる人たちの『居住区』の様子をみると、とても奴隷とは思えないということ。
居住区の発掘を進めていくと、ある程度の生活状況がうかがえます。
しかし、そこから発掘される品々は、どう考えても奴隷にはふさわしくない物ばかり。
さらに「身分が高くないとなれないはずのミイラが見つかっている」という事実も理由として挙げられています。
ん~たしかに、これらの理由を挙げていくと、これまでの『常識』がどこかへ吹っ飛んでしまいそうですね。
人から聞いた話
「ピラミッドは王様の墓」という説は、一体どこからきたのでしょう?
その要因となったのは、古代ギリシアの歴史家『ヘロドトス』
彼が著書である『歴史』のなかで、「ピラミッドは王墓だとエジプト人の神官から聞いた」と記したことが始まりでした。
つまり、ヘロドトスは見聞きしたことをまとめただけです。
なので、その記述は「ピラミッドは王様のお墓」という確証にならないんですよね。
これまでの常識が「人に聞いた話」
新しい常識は「発掘調査によって、導き出された考え」
比べると……「聞いた話だけ」ではパンチが弱いですね。
そんなわけで「王様の墓ではなく、公共事業だった」という説が、現在では「ほぼ確定」しています。
なんかおかしない?
私、思うんです。
公共事業で『お墓』を築いてもいいんじゃないですか?
なぜ『公共事業』だと推測できたからといって、これまでの『お墓』という考えを全否定してしまうんでしょう?
一つの考えに対して別の角度からの考えが生まれると、すぐに全てを否定する。
こんなことをしているから、いつまで経っても『争い』が無くならないんですよ。
別にいいじゃないですか、『慰霊碑』を建てるのは公共事業なんですし。
そもそも王様のお墓なんですから国のお仕事じゃないですか。
遺跡発掘はロマンを追い求めるものなんですから、もっと発想を柔軟にしてもいいと思いますよ。
「奴隷じゃなかった」ということには納得できます。
でも、だからといって
「建造物がお墓じゃない」なんて言い切ってしまうのは、あまりにも乱暴な気がします。
逆に言わせてもらいたいんですが
「お墓やなかったら、一体なんやねん?」
まさか……『公共事業』で意味のないものを作るわけはないですよね?
そんな事をする国が一体どこに……
あ!
……って、よう言わんわ。
王様、ピラミッド作るってよ

王様!ナイル川が氾濫して農作物が作れないと、国民が嘆いております

え?そうなの?ん~、じゃあ公共事業でもしようか?

コウキョウジギョウ!?

そう、みんなの面倒を見る代わりに、働いてもらうの

で、何をしてもらうんです?

そうだなぁ……ピラミッドとかいいんじゃない

ピラミッドと言われましても…、それにどういった意味があるんですか?

例えば、俺が死んだあとに魂が住む場所ってことでどうよ?

お墓…ですか?

ん~、お墓でもいいんだけど、とりあえず死んだら肉体はミイラにしてこっちに置いておくじゃん?

そうですねぇ

そんで魂だけになったら、あっちの世界とこっちの世界を行き来するじゃん?

ウロウロしないでくださいよ!!

まぁまぁ、で、そうなると休む場所っていうか、俺の居場所が欲しいじゃん?

たしかに、ここに来られても困りますけどね……

だからピラミッドを作って、俺がそこに入るわけ。いいアイデアでしょ?

そんな理由でいいんですかねぇ……

いいのいいの、みんな困っているんだし。さっそく始めちゃって
もう一回作るってよ

王様!ピラミッドが完成しました!

いいね~!バッチグーじゃない

は……はぁ

で、もうみんな大丈夫なわけ?

いや、それがまだまだ元の生活に戻れそうもありません

参ったねぇ…じゃあ、もう一個作っちゃおう!

またお墓ですか!?

だから、お墓っていうか……魂の居場所ね

どっちでもいいですよ!そんなの一個あれば十分じゃないですか!

わかってるよ~、俺も何個もいらないよ

それでは、理由はどうするんです?

ん~、例えば、今回のナイル川の氾濫で亡くなった人たちの『慰霊碑』的な意味合いでどうよ?

慰霊碑ですか……

そう、慰霊碑。俺って天才じゃね?

天才かどうかは知りませんよ!だいたい……

そういうわけで、ヨロシクどうぞ~

聞いていない……
気に入っちゃったよ

王様!慰霊碑のピラミッドが完成しました

お!完成した?やっぱりこの形カッコイイよねぇ

カッコイイ……ですか

そうだ!これからナイル川が氾濫したら、みんなでピラミッドを作っていくことに決めた!

え~!?もういらないじゃないですか~

だって気に入っちゃったんだも~ん……だめぇ?

かわいくないですよ!!

いいじゃん、みんなが困っているんだから

そりゃあそうですけど……、理由はどうするんです?

なんでもいいんじゃない?星座をかたどるとか、神殿的な意味合いとか

あと、身内からも『魂の居場所』が欲しいって声も聞くしね

いいんですかねぇ……

もう決めたからね、ヨロシクどうぞ~
…………
……んなこたぁない。
学者さんに「こんな話」をしたら怒られるかもしれませんね。
例えば、力自慢や知恵者たちがノリとジョークの『遊び』で並べた岩でも、1000年後の人が『神殿』だと思えば、それは神殿になり得ます。
「事実はマンガよりも滑稽なり」ですよ。