ジョンです
幼い頃は、漠然と科学者に憧れていました。
べつに何か実験をしたいとか偉い人になりたいとかじゃなく、博士と呼ばれる人になれば「物知り」になれると思ったんです。
私は、いわゆる『どちて坊や』というやつで、目の前で起こる現象や物事の「意味や理由」を知りたい子どもでした。
おかげで理数系だけはそこそこ得意で、さらに科学を学びたくて大学進学を考えたこともあります。
でも不思議なもんで、科学を学びたくても理数系以外の成績が良くないと門前払いをくらうんですね。
どちて(どうして)でしょう?
義務教育の教科は「全ての学問への興味の入口」として必要だと思いますが、そこから先の「学ぶ環境」に対しては少し疑問に思う今日この頃。
というわけで、身近なものに関する科学的な雑学から3つを紹介します。
耐火金庫の耐久性
高齢者には「銀行にお金を預けるのが不安」という理由で、『タンス預金』をしている人が多いそうな。
ただ、本当にタンスの中だと……『火事』になったらアウトですよね。
最近では不注意や不審火だけじゃなく、災害の場合も想定しないといけません。
そこで出番になるのが『耐火金庫』
過去には、阪神淡路大震災で「金庫ごと跡形も無く燃えた……」という被害が多くて、一時、耐火金庫の需要が上がったそうな。
その後も大きな震災が続いているんで、この先も需要が増えていきそうですね。
そんな耐火金庫……実は『使用期限』があるのをご存知でしょうか?
燃えないならば半永久的だろうと思われがちですが、意外にも『寿命』が定められているんですよ。
耐火金庫の有効耐用年数は20年。
それを過ぎると「十分な耐火効果」が得られないので注意が必要です。
なぜ20年なのか?
それは構造に理由がありました。
耐火金庫の内側と外側の鋼板の間に使われているのは、『発砲コンクリート』と呼ばれる特殊なコンクリートです。
これが金庫の壁に注入されると、化学反応によって膨張し、隅々まで行き渡ると乾ききらないうちに密封されます。
この発砲コンクリートにはたくさんの穴が空いていて、そこに含んだ大量の水分が金庫を熱から守っているわけです。
火災で金庫の外の温度が上昇すると、水分の気化熱で金庫内の温度を下げ、同時に、気化した水分が扉の隙間から金庫外に噴出することで炎の侵入を防ぎます。
つまり、耐火金庫は分厚い鉄だけで守られているわけじゃなく、水分によっても守られていたわけですね。
ただ、一つ問題があるとするなら……水分は蒸発するということ。
発砲コンクリート内の水分は、時を経て少しずつ自然に気化していきます。
約20年で40%の水分が失われてしまい、金庫内部を冷却するには十分なだけの量がなくなってしまうんです。
これが有効耐用年数20年の理由でした。
ちなみに耐火金庫の耐久性は、日本工業規格(JIS)が定めた基準に基づいて決められていて、厳しい耐火試験が行われています。
購入する際には、この『JIS規格』を満たしているかどうかのチェックをお忘れなく。
また、いま使っている金庫が古い場合は、一度、耐火年数のチェックをすることをオススメします。
圧力鍋
昔は『圧力鍋』を怖がる人も多かったようですが、最近はより安全で手軽に使える設計になったものが増えました。
この圧力鍋を使えば、同じ料理でも普通の鍋より短時間で調理でき、時間もガス代も節約できます。
ところで……なんで調理時間が早いんでしょう?
実は、圧力と調理スピードの関係は『沸点』にあります。
水の沸点は100度といわれ、それ以上の温度にはならないと思われていますが、これは大気圧である『1気圧』という条件のもとでの話。
気圧が低ければ沸点は下がり、反対に高くなれば上がります。
例えば、高い山の上でご飯を炊くと、沸点が下がるから米の芯まで火が通りません。
気圧が低いから沸点が下がり、温度も上がらないためです。
逆に気圧が高い場合、大気圧の二倍の2気圧で沸点は120度、4気圧なら150度にもなります。
つまり、普通の鍋では100度にしかならないところを、圧力鍋なら100度以上の高温で調理でき、温度が高いから短時間でも十分に火が通るわけです。
もちろん温度だけじゃなく、食材にかかる圧力のはたらきも調理時間に影響がありますよ。
2気圧だと1平方センチに約2キロの力がかかるんで、煮物も短時間で柔らかくなるんです。
ちなみに鍋の中の圧力が上がるのは、あの独特なフタをしっかりすることで、蒸発した水蒸気を外に逃がさないから。
これにより、鍋の中の温度は最高で125度くらいにまでなります。
実はそれ以上に高くすることもできなくはないんですが、爆発する恐れがあるから一定の圧力以上にならないように水蒸気を外に逃がしているんですよ。
そんなわけで非常に便利な圧力鍋ですが、実はちょっとした問題もありました。
それは……高温すぎること。
食材に含まれるビタミンなどの栄養素のうち、分解してしまうものがあるんですよ。
だから、柔らかくする必要がない野菜などには、わざわざ使わないほうがいいかもしれませんね。
柑橘類
柑橘類の果物が大好きです。
みかん、はっさく、グレープフルーツなど、甘酸っぱくて爽やかで。
レモンはちょっと酸っぱすぎますが、スライスしたものをかじるのは嫌いじゃないです。
こうして話しているだけでもツバが出てきました。
ところで「みかんを食べすぎると、肌が黄色くなるから気を付けろ」なんて言われたことありますか?
正直、私はどれだけ食べても黄色くなった経験がないんで、この言葉をイマイチ信じていません。
ただ、みかんを食べる際には一つだけ気を付けていることがあります。
それは何か?
「白いところは栄養があるから食べる」とかじゃないですよ。
答えは……皮をむいた際に出る『汁』です。
みかんなどの柑橘類の外皮には『リモネン』という成分が含まれています。
洗剤や接着剤にも使われている成分ですが、実はこれ……『ポリスチレン』というスチロール系の樹脂を溶かす力があります。
かんたんに言えば、プラスチックを溶かす力です。
……ということは
みかんの皮をむいて、その成分が手に残ったままプラスチック製品に触れると……溶けてしまうんですよ。
もちろん「テレビのリモコンが跡形もなく溶けてしまった……」なんてミステリーは起こりませんが……。
それでも、表面が溶けてガッサガサになってしまう可能性はあります。
ちなみに、リモネンはプラスチック以外に『ゴム』も溶かせるんで、同様に気を付けたほうがいいかもしれません。
成分が付いた手で触れたり、みかんの皮をむく際に汁が飛んだり。
あまり神経質になる必要もありませんが、身の回りにはスチロール系の樹脂を使った製品が多いんで気を付けたいところです。
私はPCのキーボードがガッサガサになったら嫌なんで、柑橘類を食べたら必ず手を洗うようにしています。
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